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「医学部です」と名乗るときの葛藤

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葛藤

人と話していて何かの折に、自分の大学を聞かれることがある。

そのときに、いつも考える。この人には”どこまで”話していいのだろうか、と。

 

言ってしまうのは簡単だ。

「○○大学の医学部です」

こういうと、だいたいお決まりのリアクションが帰ってくる。

 

リアクション1

「え~、医学部ってことはお医者さんになるの!アタマいいんだね!すごいね!」

はじめのころはこの反応が嬉しかったと認めよう。曲がりなりにも医学部に入学するには、それ相応の努力と対価を払った。認めてほしいという欲求はあった。

だが、ここで調子に乗ってはいけない、返す言葉は謙遜でなければならない。

 

「いやいやまだまだですよ~」「運がよかっただけです」

 自分でも何を謙遜しているのかわからないが、社交辞令には社交辞令で返すのが大人というものだろう。こう言いながら手を顔の前で往復させ、困ったような笑顔を作ると、たいていの人はそれ以上は追及してこない。

ごく稀に医学部と名乗ってもぴんときてない人がいるが、それはそれで話が流れるので好都合だ。

 

リアクション2

それでもさらに掘り下げてくる人のパターンはつある。

「将来、何科の医者さんになるの?」

医学部ですと名乗ったときに、待ち構える質問の筆頭がこいつだ。

開業医の子息でもない限り、この答えは

「まだ決めてないんですよ~」

になることが多い。

 

医学生のほとんどは自分のやりたいこと、興味のあることが見つけきれずにいる。特に低学年(1~3年生)のうちは、まだ臨床の勉強をやっていないのでなおさらだ。

一般には知られていないようだが、医師免許さえ持っていればどの診療科を名乗ることもできる。そのためにも、医学生は全診療科の勉強をするし、医師国家試験にもすべての範囲が出題される。さらに、初期研修医の間はローテーションでいろいろな科をまわる。

○○科に憧れて医学部に入学しても、勉強や実習をこなすうちにやりたいことが変わる人も多い。学生のうちに希望の診療科を決めていたとしても、研修医の間にその半数が進路を変更するとも言われている。

先輩から言われるのも、研修医までは希望科を絞りすぎない方がいい、といったアドバイスが多い。自分の可能性を狭めてしまうからだと。

医学生は、自分の希望の診療科について確固たる答えを出していないのだ。

そんな状態で、毎回毎回聞かれるのは正直うっとうしい。悪気はないのはわかるが。

だいたい○○科です、といってそこから話が広がるのだろうか。

 

リアクション3

「なんでお医者さんになろうと思ったの?」

もうひとつの質問はこれだ。いままで何度聞かれてきたかわからない。

どういう答えを欲しているのだろうか。面接のようにお行儀のいいお涙エピソードを交えて話せばいいのか、実はたいしたことない理由なんですよアピールをすればいいのか。

 

幻想を抱いている方がいたら申し訳ないが、医師の半数近くは人に語れるほどの理由を持っていない。

もちろん、家族や自分を助けてもらって~といった話はみんな持っている。面接で使ってきたからだ。しかし、純粋にその熱意だけの人はどれだけいるのだろうかという話だ。体感では3割もいない。

収入が安定している・地位や名誉が得られる・やりがいがある・人の命に関わりたい・研究したい

これらはまだ建前としても使える。けど、医学生どうしの本音トークでは、

「親が医者だったから継ぐために」

「成績がよかったからなんとなく」

こういった理由が圧倒的に多い。

医学部志向の強い家庭に産まれ、親の敷いたレールに従い、受験戦争を勝ち抜いて医学部に入学した。よくよく考えてみると、別に医師になりたかったわけではないという人間。

特に、医師家系の子や有名私立中高一貫校出身者にこの傾向が強い。

けれど、そんなことを正直に言ったら相手が怒ってしまうかもしれない。引かれてしまうかもしれない。だからこそ僕らは適当にお茶を濁す。

もちろん、だからといってやる気がないわけではない。きっと働きだしたら、人の命を背負うプレッシャーと限界を越えた労働時間の中でも”やりがい”を見出していくのだろう。でも、まだそんなものはわからないのが本音だ。

 

リアクション4

こういった応答を医学生は幾度となく繰り返してきている。正直めんどくさい。

だから、「医学部です」と名乗らないことも多い。「〇〇大学」だけでごまかしたり、二度と会わないような人には、適当な学部(工学部とか)を名乗ったりもする。

 

言いたくない理由は、上述のような会話のめんどくささだけではない。

高学歴と知ると、露骨に態度を変える人は少なくない。急にへりくだったり、敬語で媚びを売ったり、嫌味を言いだしたり、距離を取られたり‥。

そんなことをされるのは嫌だ。こっちだって態度を変えてしまう。

医学部というステータスに誇りを持ってはいるが、そのステータスを知って態度を変えてくる人は嫌いなのだ。

 

おわり

「医学部です」というのは簡単だが、そこにはこのような葛藤があることを知っていただけたら幸いだ。逆に、あなたがそう打ち明けられたなら、一定の信頼を勝ち取った証ともいえるだろう。

医学生はプライドは高いくせに、「本当の自分の価値」をわかってもらいたい生き物なのである。

 

 

 

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